ジャッカロープは実在する?角のあるウサギの伝説と「本物の角」に見える写真の正体

ジャッカロープを描いた挿絵 海外のUMA

長い耳の間から、シカのような枝角が伸びている。

しかも人の声をまねて、野営するカウボーイの歌に混ざるという――ジャッカロープは、アメリカのほら話から飛び出してきたような角のあるウサギです。

ところが、この話を笑って終わらせにくくする写真があります。

実際の野生のウサギにも、顔から角のようなものが伸びて見えることがあるのです。

結論:枝角を持つ新種のウサギとしてのジャッカロープは確認されていませんが、角に似た突起を持つウサギは実在します。

伝説の動物、土産物の剥製、野生動物の写真。

この三つを分けて見ていくと、意外なところで空想と現実が接近します。

ジャッカロープとは?人の歌までまねる、角のあるウサギ

ジャッカロープを描いた挿絵

ダグラスで語られる、まじめに読んではいけない生態

ジャッカロープの町として知られるのが、アメリカ・ワイオミング州のダグラスです。

市の公式紹介は、声をまねる能力やウイスキーにまつわる話まで、生態図鑑のような調子で語ります。

その極め付きが、狩猟許可証の有効日です。

有効なのは「6月31日」の深夜から午前2時まで。

もちろん、6月に31日はありません。

ここでは市が未知動物の存在を認定しているのではなく、読者も一緒に冗談へ参加する仕掛けになっています。

資料:ダグラス市公式「Meet Jack」

「見つける」より、話に乗る楽しみがある

正体が分かったらつまらなくなるUMAもあるかもしれません。

ジャッカロープは少し違います。

あり得ない日付を見てにやりとし、それでも角のあるウサギを探したくなるところが魅力です。

公式の説明と科学的な種の認定を取り違えなければ、こうした遊び心もそのまま楽しめます。

恐怖だけがUMAの入口ではないことを教えてくれる存在でしょう。

剥製はどこから来た?1930年代の工房と、2025年の野生ウサギ

ジャッカロープを描いた挿絵

角を付けた剥製が、町の名物になった

ダグラス市は、1930年代にラルフとダグラスのヘリック兄弟が、ウサギとシカの角を組み合わせた剥製を広めた経緯を紹介しています。

店頭や写真でおなじみの、整った枝角を持つ姿には、このような制作の歴史があります。

見た目が精巧なことと、野外でその姿のまま暮らしていたことは同じではありません。

角付きの剥製が写っているだけでは、捕獲された未知動物の標本とはいえません。

アメリカの歴史保全諮問委員会も、ダグラスを紹介するページでジャッカロープを神話的な存在として扱っています。

資料:米国歴史保全諮問委員会によるダグラスの紹介

町の歴史としての「本物」と、生物学的な「本物」を分けると、剥製にも別の価値が見えてきます。

何を作り、どのように広め、人々がどんな話を添えたかを伝える品だからです。

フォートコリンズで話題になった「角のあるウサギ」

一方、2025年8月にAP通信が報じたコロラド州フォートコリンズの事例は、剥製の話ではありません。

顔に突起のあるウサギが目撃され、州の野生動物当局は、パピローマウイルスによるいぼ状の増殖と説明しました。

SNSで不気味な名前を付けられたウサギたちは、伝説の新種が現れたという事例ではなかったのです。

資料・報道写真:AP通信の2025年8月の報道

写真を比べると、枝角とは違うものが見える

コロラド州の野生動物当局の解説には、あごの周辺に黒い突起が生じたワタオウサギの写真も載っています。

突起は主にケラチンでできており、長くなると角のように見えると説明されています。

整った左右の枝角を頭頂部に持つ土産物と、皮膚の一部から増殖する突起は、見た目も成り立ちも異なります。

写真資料:Colorado Parks & Wildlife「Rabbit Papillomas」(PDFの3ページ目)

このPDFは会議資料の一部として公開されているため、先頭ではなく「Rabbit Papillomas」のページを開いてください。

掲載写真は伝説のジャッカロープを撮影したものではなく、ウサギの皮膚の変化を示す資料です。

ジャッカロープの正体は?伝説と写真に、別々の答えがある

ジャッカロープを描いた挿絵

ウイルス説が説明するのは「角のような突起」

州の解説は、こうした突起がジャッカロープ伝説の由来になったのではないかという見方にも触れています。

ただし「よく似たものが現実にある」ことと、「伝説が必ずそこから生まれた」ことの間には、もう一段の検証が必要です。

誰がどの個体を見て、どんな話を伝えたのかまでつながらなければ、起源を一つに決めることはできません。

また、突起の説明がついても、人の声をまねるという物語まで動物学的に裏付けられるわけではありません。

「本物の写真なのに怪物ではない」が、このUMAの面白さ

UMAの画像は、本物か偽物かの二択で語られがちです。

しかし、ジャッカロープの周辺には三つの異なるものがあります。

一つ目は、物語の姿を再現して作った剥製です。

二つ目は、角に似た突起が生じた野生ウサギの記録です。

三つ目は、そのどちらからも広がる、人の声や不思議な習性を備えた伝説です。

二つ目の写真が本物であっても、三つ目が丸ごと実在する証明にはなりません。

ここを分けておくと、驚きを失わずに写真を楽しめます。

結論:角のあるウサギは「どの角か」で答えが変わる

シカのような枝角を備えたジャッカロープは伝説と造形の世界の存在ですが、角のような皮膚の突起を持つウサギは現実に記録されています。

町の物語を全部でたらめとして片付ける必要も、写真一枚で伝説の全設定を信じる必要もありません。

かわいらしい空想の動物を追いかけるうちに、意外な自然の姿に出会う。

ジャッカロープには、そんな種類の「本当にいるかもしれない」が残っています。

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