黒っぽい毛に、盛り上がった肩。
背中は後ろへ向かって低くなり、顔はオオカミのようなのに、体つきにはハイエナを思わせるところがある。
シュンカ・ワラキンは、犬をさらう獣の伝承と、実際に残る奇妙な剥製が結び付いたUMAです。
目撃者の言葉だけでなく、体が残っているのなら、正体もすぐ分かりそうです。
ところが、残ったものが「生前の姿をそのまま保った体」とは限らないところに、この話の難しさがあります。
結論を先に言えば、既知のオオカミと剥製制作の影響は検討すべき説明ですが、今回確認した資料に、この歴史的な剥製を確定同定した鑑定結果はありません。
なお、2018年にモンタナでDNA鑑定された動物は別の個体です。
シュンカ・ワラキンとは?犬をさらう伝承とリングドーカス

夜の野営地に忍び寄る獣
ローレン・コールマンは、1995年にアイオウェイのランス・フォスターから聞いた話を紹介しています。
それは、夜の野営地に入り込み、犬をさらう奇妙な獣の話でした。
ハイエナに似ており、殺されたときに人のような声を上げたとも語られています。
何を食べ、どう鳴いたかまで伝えられる存在だったわけです。
ここで押さえたいのは、その伝承の動物と、後述するモンタナの剥製が、最初から同じ個体として記録されていたわけではないことです。
フォスターは剥製の話を知り、伝承の獣ではないかと考えたと紹介されています。
Loren Coleman:Shunka Warak’in: Historically Defined
リングドーカスという、もう一つの名前
一方、剥製の来歴をたどると「リングドーカス」という名前が現れます。
ロス・ハッチンズの1977年の本は、剥製を展示したシャーウッドがそう呼んだと説明しています。
つまり、犬をさらう伝承の名前と、店で展示された剥製の呼び名には、それぞれ別の来歴があります。
似た姿を手掛かりに、二つの話が後からつながったと考えると、名前の混乱をほどきやすくなります。
1880年代の牧場で何が起きた?孫が残した記述と剥製写真

冬の朝、犬の声で外へ出ると
自然研究者ロス・ハッチンズの『Trails to Nature’s Mysteries』には、祖父の牧場に現れた獣の話が載っています。
再録された原著の文章では、時期は1880年代の冬とされています。
犬の声で気づいた祖父は、ガチョウを追う暗い色のオオカミのような動物を見つけ、発砲しましたが外しました。
獣は川の下流へ去り、その後も現れ、1月下旬のある朝に仕留められたと記されています。
これは孫が後年に書き残した家族の話です。
よく挙げられる1886年という数字と区別し、この原文が指定するのは1880年代までと読んでおきたいところです。
残された写真は、生きた獣ではなく剥製
同書の写真には、高い背中と細長い鼻先を持つ剥製が写っています。
本文は、死体がアイダホのヘンリーズ湖で店と博物館を営む人物へ渡り、剥製として長く展示されたと説明します。
本記事では、マシュー・ケネディが掲載した原著の文章と写真の再録画像を確認しました。
写真の転載許諾は確認できないため、下の掲載先へ案内します。
原著の再録画像を見る:RINGDOCUS「1: SHUNKA WARAK’IN to RINGDOCUS」
ここで見られるのは、生きた状態で撮影された目撃写真ではありません。
奇妙な物体が残った証拠と、その物体が未知の種である証拠は同じではないのです。
2007年、探されていた剥製が再び話題に
2007年には、ポカテロに保管されていた剥製がモンタナへ貸し出されたことが報じられました。
コールマンの記事は、標本をどちらの州で展示するかという議論も紹介しています。
怪物の体が突然発見されたというより、古い展示物の所在が追い直された出来事です。
捕獲の話と、剥製の再発見は、およそ一世紀隔たる別の出来事になります。
2007年の所在と貸し出しを報じた記事の紹介:Shunka Wars
シュンカ・ワラキンの正体は?DNAで分かった動物と、まだ別の問題

オオカミ説と、剥製の形という落とし穴
オオカミのような顔や体は、既知のイヌ科動物という説明につながります。
ケネディの考察も、剥製の作り方が奇妙な外見を生んだ可能性を重く見ています。
ただし、その考察はDNA鑑定の結果ではありません。
写真での見え方、生前の骨格、剥製制作による変化を切り分けないと、どこまでが本来の特徴か決められません。
ハイエナ説は、背中の形から生まれる疑問
高い肩から後ろへ下がる体つきは、ハイエナを連想させます。
ハッチンズもサーカスから逃げたハイエナという案に触れましたが、近くにサーカスがあったという確かな裏付けを提示してはいません。
姿が似ていることは、候補を考える出発点にはなります。
しかし、それだけで北米で未知のハイエナが生き残っていた証拠にはなりません。
「DNA鑑定をしたが謎のまま」とは言えない
2009年5月27日、コールマンは、剥製のDNA検査は行われていないと書いています。
当時の説明では、展示している博物館と所有者が異なることが障害になっていました。
この文章は2009年時点の話です。
古い未実施の報告を「現在も検査不能」や「検査したのに未知のDNAだった」という話へ変えてはいけません。
Loren Coleman:Shunka Warak’in: DNA Results?(剥製写真あり)
リンク先にはランス・フォスター撮影と明記された剥製の写真もあります。
2009年の撮影資料であって、1880年代の遭遇時の写真ではありません。
2018年に同定されたのは、別の雌のオオカミ
2018年には、モンタナ州デントン付近で撃たれた別の動物も、奇妙なオオカミとして注目されました。
米国魚類野生生物局の鑑定書には、北部ロッキー山脈の雌のハイイロオオカミという結論が記されています。
鑑定書の日付は2018年6月13日、事件番号は18-0134です。
これは古いリングドーカスの剥製を検査した書類ではありません。
結論:剥製は手掛かり、未知の獣という同定はまだ別
シュンカ・ワラキンには、伝承だけでなく、来歴を追える剥製があるという強い魅力があります。
ただし今回確認した資料では、その剥製を未知種とも既知種とも確定する鑑定結果は確認できませんでした。
オオカミ説や剥製制作の影響は、外見を説明する重要な候補です。
それでも、手元に物が残っているのに、名前と来歴と同定がきれいにつながらないところに、このUMAならではの謎が残っています。


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