月夜の砂漠で、トゲだらけの猫が踊り、前脚をこすって妙な音を立てる。
カクタスキャットは、サボテンの汁を飲んで酔うと語られる、北米の砂漠の怪猫です。
硬い毛、枝分かれした尾、腕の骨の刃。
物騒な体なのに、物語で熱中しているのは飲み歩きです。
その姿と習性は、コックスの1910年の怪物集に詳しく記されています。
カクタスキャットの姿|毛がトゲになった砂漠の猫

枝分かれする尾と腕の骨の刃
原典では、全身の毛がトゲのように硬く、耳の周りではとくに長いとされます。
尾は一本の先へまっすぐ続くのではなく、枝分かれします。
前脚には、刃のように使う骨の部分があります。
サボテンに囲まれた土地に、猫自身までサボテンに似た姿で登場するところが印象的です。
サボテンに傷を付けて歩く
舞台として挙がるのは、プレスコット、ツーソン、ヤキ川下流などです。
原典は広い土地へ話を広げていますが、これは生息調査による分布図ではありません。
猫は骨の刃でサボテンを傷つけ、汁を出させます。
すぐに飲むのではなく、ほかのサボテンにも傷を付けながら進むといいます。
1910年の原典と挿絵|何晩もかけて飲み歩く

汁を残して次のサボテンへ向かう
1910年の話では、猫は何晩もかけて一定の道筋を回ります。
最初のサボテンへ戻るころには、汁が発酵して飲みごろになっている、という段取りです。
自分で酒場を作り、順番に巡回する猫のような習性です。
トゲや骨の刃という見た目の特徴が、ここで飲み物を用意する道具につながります。
月夜の踊りと、骨をこする音
酔った猫は、月の光の下で踊り、前脚の骨をこすり合わせて音を出すと語られます。
静かな砂漠で妙な音がしたとき、その主を想像させる結末です。
上の図版は当時の挿絵で、夜間に撮影された怪猫の写真ではありません。
体の細部と行動を並べて読むと、ただトゲのある猫という以上の、ひとまとまりの話が見えてきます。
出典:原典・掲載資料を読む
カクタスキャットの正体|植物の説明はどこまで本当?

酒造りの知識として読めない理由
原文は飲み物を『mescal』と呼びます。
しかし、これは怪物の飲酒譚の中で使われた表現です。
サボテンに傷を付ければ同じ酒ができる、という実際の製法を説明した資料ではありません。
動物の習性も植物の働きも、物語の面白さのために組み立てられています。
土地にありそうなものをつないで、ありそうもない行動を生む。
カクタスキャットの設定は、その仕組みがとても分かりやすい例です。
結論:砂漠のトゲと夜の音が結び付いた猫の物語
結論:カクタスキャットは、トゲの体と骨の刃を持ち、発酵した汁を飲んで踊るとされる砂漠の怪物譚です。
1910年の本で具体的な姿は確認できますが、実在動物の捕獲や観察が立証されたわけではありません。
この猫を想像すると、砂漠の夜の音が少し違って聞こえそうです。
恐ろしい姿で人を襲うだけでなく、誰も見ていないところで自分だけの楽しみを持つ怪物として、妙な親しみも残ります。
出典:原典・掲載資料を読む


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