白い鹿が振り向くと、角の先に花が咲いている。
スナウファスは、頭に果樹の枝をいただく、オザーク地方の不思議な鹿です。
荒々しい牙や巨大な爪より、場違いな美しさが目を引きます。
山にかかる青い霞まで、この鹿の息だといいます。
資料に残る正体は、白い鹿と土地の風景を結び付けた民話の存在です。
花の角が生まれた理由にも、違う筋立てが残っています。
スナウファスの姿|白い鹿の頭に花の枝

角の代わりに咲くプラムやハナミズキ
Encyclopedia of Arkansasは、大きな白い鹿の頭に、角の代わりに花の咲いたプラムやハナミズキの枝が伸びる姿を紹介します。
春の枝をそのまま頭に載せたような怪物です。
動物なのに植物を生やしている、という境界の曖昧さが魅力です。
普通の鹿に珍しい色が付いただけでなく、生き物の種類そのものが混ざって見えます。
山の青い霞は、この鹿の息?
スプリングフィールド・グリーン郡図書館の紹介にも、木の上へ跳び上がる、飛ぶように森を抜ける、といった話があります。
青い霞が見えれば、近くにこの鹿がいるとされます。
美しい姿を見ることが、必ずしも幸運ではないのも特徴です。
同図書館は、出会うと命が長くないという不吉な言い伝えも紹介しています。
これは予言が実証されたという話ではなく、伝承の一部です。
花の角はどう生まれた?異なる二つの物語

弾丸の代わりに使ったプラムの種
百科事典が紹介する一つの話では、狩人が弾丸を使い切り、代わりにプラムの種を撃ちます。
白い鹿は倒れきらず走り去り、その後、頭からプラムの木を生やした鹿の話が伝わります。
撃ち込んだ種が、角の代わりに育ってしまう。
狩りの失敗が、花を咲かせる不思議な姿の由来へ変わる仕掛けです。
果樹園の人が角へ接ぎ木したという話
別の筋では、果樹園の人が鹿を捕らえ、角へリンゴを接ぎ木したと語られます。
先ほどの話では偶然育った枝が、こちらでは人の手によって生まれます。
この二つを、一頭の鹿に続けて起きた事件のように合体させる必要はありません。
同じ姿を説明する別々の物語として比べるほうが、語りの違いを楽しめます。
スナウファスの正体|目撃事件より民話として残る鹿

ランドルフの本へつながる記録
百科事典は、民俗学者ヴァンス・ランドルフの1951年の『We Always Lie to Strangers』を主要な資料として挙げています。
本記事ではその書誌と百科事典の整理を確認しており、本の全文を読んだものとしては扱いません。
刊行年は、鹿を発見した年ではありません。
また、今回確認した地域資料には、撮影者や撮影日まで検証されたスナウファスの写真は示されていません。
白い鹿の写真があっても、それだけで花の咲く角や青い息まで確認されたことにはなりません。
現実の観察と、伝承で加わる特徴を分ける必要があります。
結論:白い鹿に、山の霞と果樹の物語を重ねた存在
結論:スナウファスは、白い鹿に花の枝、山の霞、不吉な出会いを重ねた、オザークの民話の存在です。
確認した資料は物語の伝わり方を示しており、花の角を持つ新種の鹿を確認したものではありません。
それでも、角に何が咲いているかを想像するだけで、鹿の姿はがらりと変わります。
狩人の種と果樹園の接ぎ木、その二つの話を知ってから絵を見ると、同じ白い鹿にも別の物語が見えてきます。


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