湖の上を飛んでいると、水中に大きな魚の形が見える。
長い頭と尾、体の横に張り出すひれ。
イリアムナ湖の怪物は、アラスカの湖で操縦士や住民が見たと語る、巨大魚のようなUMAです。
正体はサメなのでしょうか、それともチョウザメでしょうか。
どちらも候補として挙げられていますが、今回確認した資料では特定に至っていません。
DNA調査の計画も報じられましたが、怪物の正体を確定した結果は確認できませんでした。
イリアムナ湖の怪物とは?舟の下にいる「大きな魚」

首長竜より、暗い色の巨大魚に近い
イリアムナ湖の怪物の話では、水上へ伸びる長い首より、魚のような体や尾の印象が目立ちます。
水中を見下ろした証言があるため、「湖面のこぶを見た」という話とは違う角度から読めるのも特徴です。
アラスカ公共メディアの2019年の紹介は、1940年代後半から住民の目撃が語られてきたと説明しています。
舞台はアラスカ最大の湖で、怪物の話も、そこに暮らし移動する人々の経験と結びついています。
丸太だと思っていたものが、鳥を水中へ引く話
ビョルン・ディーレの2020年の記事は、生態学者ブルース・ライトが集めた猟師たちの話を紹介しています。
舟の下に沈んだ丸太のようなものがあり、そばの白鳥が水中へ消えたというのです。
そのものは巨大なカワカマスのようだったとされます。
ただし記事には猟師の名前や事件の年がなく、ライト自身の目撃でもありません。
舟の下の影が生き物に変わる、という土地の語りを知る例として読むのが適切です。
同記事の怪魚の絵は、アレックス・ウィットによるイラストと明記されています。
よくできた魚の絵があることと、その姿がカメラに写ったことは区別しましょう。
1977年と2008年の目撃|操縦士たちは水中に何を見た?

1977年7月、静かな湖面に大きな尾
操縦士ティム・ラポートは、1977年7月、乗客とともに魚のようなものを見たと、2019年の取材で振り返っています。
湖面は静かで、観察は数秒でした。
背を曲げて水を打ち、大きな尾を左右に動かして潜ったといいます。
近くの小舟との比較から約15フィート、約4.6メートルと見積もりました。
これは上空からの推定で、捕獲して測った長さではありません。
2008年夏、砂底をかき回すような動き
人類学者ロビン・ラバインも、晴れて穏やかな日に低空を飛ぶ機内から、浅瀬の灰色の魚らしいものを見たと語っています。
砂底をかき回すように体をひねり、長い頭、尾、横のひれが見えたという証言です。
最初は2頭のアザラシかと思ったものの、1個体だと考え直したと説明しています。
目撃者がどう判断を変えたかまで残る、興味深い話です。
壊れた漁具は、何を意味するのか
2017年には、マーク・スティガーが湖底に仕掛けた漁具の破損を報告しています。
2020年のディーレの記事は、もつれた延縄と切れた枝縄の写真を、本人提供の資料として紹介しました。
写真にあるのは破損した道具で、破損させた動物の姿ではありません。
力の強い何かを想像させる出来事でも、道具の損傷だけから生物の種類や体長は決められません。
正体はサメ・チョウザメ・アザラシ?DNA調査で分かったこと

巨大魚説は、ひれや尾の証言とどう結びつく?
魚らしい輪郭を説明する候補として、オンデンザメ類やチョウザメが挙げられてきました。
魚のような尾やひれという証言から、巨大魚を考える流れ自体は理解できます。
ただ、候補の魚が巨大になることと、イリアムナ湖にその個体がいたことは別です。
2012年のアザラシ保護指定を求める申立書も、湖のサメを未確認の仮説として扱っています。
この文書はNOAAのサイトに保存されていますが、申立人の文書であり、NOAAが怪物の正体を認定した発表ではありません。
公的サイトに置かれた資料でも、誰の主張なのかを確かめる必要があります。
水中カメラで怪物は写った?
2019年には、湖水のDNAと深い場所の映像から対象を探す計画が報じられました。
2020年の取材記事では、カメラは2019年夏から投入され、実際にアザラシが近づいた画像が紹介されています。
機材が壊されたという話もありますが、その時は電池が切れていたと説明されています。
したがって、その破損場面を怪物が映った動画として紹介することはできません。
今回探した範囲では、この調査で未知の巨大魚を同定したDNA結果の公表は見つかりませんでした。
2024年のDNA論文は、アザラシの研究
一方、この湖では2024年に、実際の遺伝研究が発表されています。
対象は湖に暮らすゼニガタアザラシで、糞や組織から得たDNAを、太平洋各地の集団と比較したものです。
研究では、イリアムナ湖の集団に遺伝的な違いが認められました。
これは淡水で暮らすアザラシの歴史を知る成果であり、怪物のDNAが見つかったという論文ではありません。
湖にアザラシが実在することは、既知動物を候補に考える根拠になります。
しかし、この論文は1977年や2008年の目撃対象を鑑定した研究でもありません。
結論:巨大魚の証言は残るが、DNAによる正体確定は確認できない
イリアムナ湖の怪物の正体は、今回の資料では未特定です。
サメやチョウザメは仮説、アザラシは湖に実在する動物ですが、それぞれの目撃と直接結びつける証拠は揃っていません。
この湖の面白さは、巨大魚の話と、本当に珍しい淡水のアザラシの暮らしが同じ場所にあることです。
未知の影を追うほど、すでにいる生き物にも新しい疑問が見つかる。
怪物探しと生態研究の両方から読める、奥行きのあるUMAです。


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