熊のような黒い獣へ石を投げたら、その石が同じ勢いで自分へ戻ってくる。
ガンベルーは、攻撃をはね返す弾力のある皮膚を持つと語られる、北米の木こりの怪物です。
ほとんど毛がなく、つやつやした体はゴムの塊のようです。
ところが、無敵に見える体にも意外な弱点があります。
火に触れると爆発し、後の本では写真のネガまで爆発したことになります。
正体を先に答えるなら、1910年と1939年の大ぼら話に残る怪物であり、実物写真が確認された動物ではありません。
ガンベルーの姿|毛のない黒い熊と、ゴムのような皮膚

焼けた巨木から現れる大食漢
コックスの1910年の本では、ガンベルーはグレイズハーバーからハンボルト湾までの、太平洋岸の霧深い地域にいるとされます。
ふだんは、焼けて空洞になった大きなシダーの根元に隠れています。
大きさはクロクマほどですが、目立つ眉毛と顎の剛毛を除けば、ほぼ毛がありません。
黒く見える理由も、焼けた木のすすが付いたからかもしれない、と物語は説明します。
ひとたび外へ出れば、食べられそうなものは何でも口にする大食漢です。
腹が大きく膨れても苦しがらず、まだ食欲が収まらないという極端さが語られます。
攻撃したものが自分へ戻ってくる
ガンベルーが敵を恐れない理由は、体に当たったものが跳ね返るからです。
大きな動物の突進から小さな虫の攻撃まで、同じ理屈で退けるとされます。
石や道具だけでなく、弾丸まで撃った人の側へ戻ってくる。
生物の皮膚というより、強力なゴムの性質を体全体に与えたような設定です。
俊足である必要もありません。
攻撃が効かないのなら、慌てて逃げなくてもよい。
体の特徴が、そのまま悠々とした振る舞いを説明しています。
1910年の挿絵と、森で聞こえる破裂音

熊に似た姿を原画で見る
1910年の挿絵を用いた上の図版では、黒い、丸みのある怪熊としての姿を見られます。
文章の説明と並べると、毛の多い普通の熊とは違う印象になります。
この図版は当時の物語を表した挿絵で、目撃写真ではありません。
図鑑らしい見せ方をしながら、とても図鑑には収まらない習性を記すところが、この本の面白さです。
無敵の体が、火には弱い理由
原文は、ガンベルーが少ない理由を、森林火災と体の燃えやすさに結び付けています。
火にはね返す力は通用せず、セルロイドのように燃えて爆発する、とされます。
クーズベイ付近の木こりたちは、火災の際に倒木とは違う大きな音と、焼けたゴムのにおいを感じたという筋書きです。
ただし、特定の火災の日付や独立した調査報告は、この章に示されていません。
森の中で聞こえる音やにおいを、姿を見せない獣の仕業として説明する。
怪物そのものが見つからなくても、身の回りの現象から話を続けられる仕掛けになっています。
出典:原典・掲載資料を読む
1939年にはストーブの体に|写真の噂と正体

脚だらけの別のガンベルー
1939年の『Fearsome Critters』では、姿がさらに奇妙になります。
腹の出たストーブそっくりの胴体に長い前脚があり、後ろ脚は三本、胴の周囲にも何対もの脚があります。
この説明の語り手は、伝説の巨人ポール・バニヤンです。
丘から横向きに転がり、あまりに速いので見つけにくいという話まで加わっています。
1910年の怪熊と1939年の脚だらけの獣は、同名でも同じ姿ではありません。
この記事の挿絵は、主に1910年版の怪熊をもとにしています。
結論:爆発する写真も含めた木こりのほら話
1939年版の末尾には、S・W・アレンが写真を撮ったものの、ネガが爆発したという一節があります。
写真があると期待させた直後に、その証拠まで消えてしまうという落ちです。
結論:ガンベルーの正体として確認できるのは、弾力と燃えやすさを誇張した、版によって姿の変わる怪物譚です。
爆発したネガの話を、実在の撮影記録や現存写真の証拠として扱うことはできません。
攻撃を全部はね返すのに、熱には弱い。
そのアンバランスさが、怪熊の説明にも、森の音の説明にも、最後の写真の冗談にも使われています。
出典:原典・掲載資料を読む


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