食卓ほどの甲羅を持つカメが、農場の池に潜んでいる。
アメリカのインディアナ州チュルバスコで語られる「バスコの怪物」は、オスカーという名前で親しまれる巨大ガメです。
背びれでも長い首でもなく、誰もが知るカメが桁外れに大きかったという話は、かえって現実味を感じさせます。
正体候補はワニガメや大きなカミツキガメですが、オスカーとして捕獲・計測された個体はなく、巨大な体重は目測の話です。
バスコの怪物とは?1948年の釣り人が見た甲羅

スミソニアン誌の2024年の取材記事では、1948年7月にオラ・ブルーとチャーリー・ウィルソンが池で巨大なカメを見たと紹介されています。
語られたのは大きな食卓ほどの甲羅と、突起のある外見でした。
500ポンド、約227キログラムを超すという推定も広まりましたが、秤に載せて量った数字ではありません。
持ち主のゲイル・ハリスも関わり、翌1949年には怪物を捕まえようとする騒動が大きなニュースになりました。
オスカーという名前はどこから
インディアナ大学図書館の民俗資料紹介は、以前の土地所有者オスカー・フルクにちなむ名前として説明しています。
同館が扱うのは後年の聞き取りを含む民俗資料で、当日の計測調書ではありません。
それでも、どこの池で、誰が捜索に関わったかを追える点は、場所の分からない巨大ガメ写真とは違います。
池を空にしても捕まらない——1949年の捜索騒動

怪物を見たいという人々が集まり、捜索は釣り糸を垂らすだけでは済まなくなりました。
大学図書館の紹介には、排水を試みたことや、借りた潜水装備のヘルメットから水が漏れて計画がうまく進まなかったことが記されています。
水を抜けば見つかるはずだという発想と、思いどおりにならない現場の落差が、この騒動を印象的にしています。
ミシガン大学の文芸誌に載った事件の考察も、1949年の全国的な注目と、捕獲に執着した人物を取り上げています。
実際に捜索へ労力を費やしたことと、巨大ガメが池にいたことは、同じではありません。
当時の捜索の記録と、怪物の写真は別
スミソニアン誌によれば、ホイットリー郡歴史博物館には捜索時の潜水装備などが残されています。
そうした道具は、騒動が起きたことを裏づける興味深い資料です。
ただし、その横にカメの絵や別のカメの写真が置かれていても、オスカーを捕獲した証拠にはなりません。
今回確認した資料から、伝説の個体と確実に結びつけられる鮮明な写真は確認できませんでした。
正体はワニガメ?大きさ以上に難しい生息地の問題

ワニガメ説が出る理由は、いかつい頭と甲羅の突起という外見です。
一方でスミソニアン誌が取材した専門家の間では、インディアナ州での自然分布の評価にも意見の違いがあります。
単に「巨大なカメが実在するからオスカーも説明できる」とは言い切れません。
同記事では、通常のカミツキガメなどを実際以上に大きく見積もった可能性も示されています。
この説はカメらしい姿と大きさの誇張を説明しますが、当時の個体を調べて同定した結果ではありません。
500ポンドという評判と、採寸・計量された動物の記録は区別する必要があります。
結論:巨大ガメの捕獲には至らず、既知のカメが候補に残る
バスコの怪物は、カメの目撃が大規模な捕獲騒動へ発展した事例です。
ワニガメやカミツキガメは候補ですが、特定の一匹を正体として示す証拠はありません。
未知の爬虫類の発見という結末ではなかったものの、池の底に巨大な甲羅を想像させた話は、町が語り継ぐオスカーという存在になりました。


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