湖の魚へ飛びかかり、平たい尾で水面をたたく。
ビルダッドは、ビーバーほどの体にカンガルーのような後ろ脚、タカのようなくちばしを持つとされるUMAです。
そして、その肉を食べた人にも跳ぶ力が移るという、奇妙な話が続きます。
1910年の原典にあるのは、メイン州の湖を舞台にした木こりの大ぼら話です。
ビルダッドの姿|ビーバーとカンガルーが混ざった獣

小さな前脚と強い後ろ脚
原典は、メイン州北西部、ハリケーン・タウンシップのバウンダリー池を、この獣のすみかとして挙げています。
姿は一種類の動物に収まりません。
強い後ろ脚に対して前脚は短く、足には水かき、尾は平たいと説明されます。
岸から跳び、水面で動き、魚を得るための特徴が組み合わされています。
平たい尾で水面をたたく漁
魚が水面に近づくと、ビルダッドは岸から跳び出します。
そして尾で水を強くたたき、魚を気絶させるといいます。
原典は跳躍を60ヤード、約55メートルにも及ぶものとして語ります。
小さな動物の動きとしては途方もない距離ですが、その大きな数字が、後半の人間の話へつながります。
1910年の挿絵と湖の物語|食べた男にも跳躍力?

バウンダリー池をすみかとする記述
1910年の挿絵を見れば、くちばし、短い前脚、大きな後ろ脚という組み合わせを確かめられます。
これは湖で撮られた写真ではなく、物語の動物を描いた図です。
話の後半には、ハリケーン湖付近の木こりの食事が登場します。
未知の獣の肉を試したのが、ビル・マーフィーという人物だった、と語られます。
ビル・マーフィーの奇妙な最期
肉を食べた男は、驚くほど遠くへ跳んでしまい、そのまま水中で命を落とすという筋書きになります。
動物を食べたら、その動物の能力まで得てしまったという落ちです。
狩りの能力は人間に移っても、水中で暮らす力まで都合よく移るわけではない。
物語をそう読むと、前半の体の特徴が後半の結末に効いていることが分かります。
出典:原典・掲載資料を読む
ビルダッドは実在する?跳躍の数字と事件の扱い

刊行年から出来事の日付を決めない
原文はこの出来事を、刊行時点から『三年前』という形で語ります。
しかし、ここから年だけを計算して、実際の死亡事故の年として載せるのは適切ではありません。
確認した資料は怪物譚であり、マーフィーの死亡を裏付ける事件記録ではありません。
人物名や会社の名が登場しても、独立した記録の確認とは別です。
跳躍の距離も、著者が物語に記した数字です。
動物の運動能力を計測した研究値として扱うことはできません。
結論:獣の能力が食べた人へ移る大ぼら話
結論:ビルダッドは、魚を尾で気絶させる跳躍獣と、その肉を食べた人間の話が一組になった怪物譚です。
1910年の原典は具体的ですが、未知動物や人間への能力の移行を証明する資料ではありません。
奇妙な姿を覚えた後に、食卓へ出されたらどうなるのかまで話が進む。
森や湖の怪物が、木こりの食事へ入り込んでくるところに、この物語の独特な味があります。
出典:原典・掲載資料を読む


コメント