エンフィールド・モンスターの正体は?三本脚の怪物と1973年の目撃事件

灰色の毛と三本の脚を持つエンフィールド・モンスターの挿絵 海外のUMA

灰色の毛に覆われた体、大きな頭、ピンク色に見える目。

そして、体を支える脚が三本あったという、奇妙な怪物です。

1973年、米国イリノイ州の小さな町で語られた「エンフィールド・モンスター」は、その姿からして普通の獣とは違っていました。

正体は確定していません。

カンガルーなどの誤認説は検討できますが、今回確認した資料に、捕獲して種類を同定した記録はありません。

一方で、事件に結びつけられた話の一部は、後の聞き取りでいたずらと分かっています。

面白いのは、そこで事件全体を一括りにせず、どの報告が残るのかまで調べた研究があることです。

エンフィールド・モンスターとは?家のドアの外にいた三本脚

林の小道に立つ灰色の三本脚の怪物の挿絵

英国のポルターガイスト事件とは別の話

このUMAの舞台は、米国イリノイ州のエンフィールドです。

同じ地名で知られる英国の心霊事件とは、場所も出来事も異なります。

古くから決まった姿で語られてきた妖怪というより、1973年の遭遇談を中心に名前が広まった怪物です。

出どころを追うと、中心にいるのは住民ヘンリー・マクダニエルの証言でした。

4月25日の夜、至近距離で見たという姿

1973年5月9日付の新聞に掲載されたUPI記事によると、最初の遭遇は4月25日の夜でした。

マクダニエルは家のドアの外で、灰色の毛、大きな頭、三本の脚を持つ生き物を見たと語っています。

高さは4〜5フィート、約1.2〜1.5メートル。

目は自動車の反射板にたとえられ、ピンク色に見えたと説明されています。

光を反射したように見えることと、目そのものが発光することは分けて考える必要があります。

彼は銃を持ち出して発砲したと話し、生き物は音を立てて跳び去ったとしています。

ここで分かるのは本人がそう報告したということで、弾が命中した個体が回収されたという記録ではありません。

1973年5月9日のUPI記事(PDFの6ページ目、紙面表記6-PASCO EAST)

二度目の目撃と足跡|当時の報道に残ったもの

月夜の林の縁に立つエンフィールド・モンスターの挿絵

5月6日、午前3時ごろの再遭遇

同じUPI記事は、マクダニエルが5月6日の午前3時ごろにも生き物を見たと伝えています。

最初の一晩だけで終わらず、本人から二度目の報告が出たことが、事件の特徴です。

記事には六本の指があるような足跡の話も登場します。

ただし「変わった跡が報じられた」ことと、「未知の三本脚の動物の足跡と鑑定された」ことは同じではありません。

怪物の写真ではなく、当時の新聞を読む

今回確認した資料では、個体の特徴を判別でき、撮影の来歴も確認できる怪物写真は見つかりませんでした。

代わりに参照できるのが、上でリンクした当時の新聞紙面です。

1973年の時点で、どの特徴がすでに報道されていたのかを確かめられます。

後年に描かれた怪物の絵を、目撃時に撮られた写真として読む必要はありません。

「少年の靴を引き裂いた」という話はどうなった?

事件には、少年が怪物に靴を傷つけられたという話も加わりました。

しかし現地調査の研究者は、少年と両親への聞き取りから、この話がいたずらだったと報告しています。

この訂正を落とすと、怪物による被害が確認されたかのような記事になってしまいます。

一つの町で語られた話でも、同じ信頼度で並べることはできません。

正体はカンガルー?現地調査が明らかにした事件の輪郭

岩のある林床に立つ三本脚の怪物の側面を描いた挿絵

研究者は「町じゅうが怪物を見た」とは考えなかった

ミラーらの研究班は事件中の1973年5月に現地を訪れ、結果を1978年の社会学論文にまとめました。

動物の標本を調べた論文ではなく、報告や人々の行動を調べた研究です。

研究者が「何かを見たと本人が思った」と考えられる報告として絞ったのは、マクダニエルの二件と、ラジオ局WWKIの一行による一件でした。

ニュースが広く伝わった規模と、独立した目撃報告の数は違っていたのです。

論文は、これを単純に大量の目撃が伝染した事件と扱うことに疑問を示しています。

「怪物が実在した」とも「住民全員が幻覚を見た」とも結論していません。

Miller・Mietus・Mathers(1978):エンフィールド事件の現地調査論文

尻尾が三本目の脚に見えた可能性

同論文が整理した当時の報道には、逃げたカンガルーではないかという話もあります。

ただし、飼い主の推測が紹介されたことは、その動物との一致が確認されたことを意味しません。

カンガルーの尾に着目する発想には、生物の動きとしての理由があります。

2014年の運動学研究では、カンガルーはゆっくり進む際、尾で体を支えるだけでなく、前進する力も生み出すと示されています。

O’Connorほか(2014):カンガルーの尾と歩行の研究

尾を脚と見間違えれば、三本に見える輪郭を説明できるかもしれない、というのは編集上の考察です。

この研究はエンフィールド事件を検証したものではなく、目撃された頭や体、足跡がカンガルーと一致したと証明するものでもありません。

結論:三本脚の正体は未特定、事件に加わった話は仕分けられる

エンフィールド・モンスターの正体は、今回確認した資料では未特定です。

カンガルー説には姿の見間違いを考える余地がありますが、事件の個体を同定した結果ではありません。

一方、少年の被害談はいたずらと報告されており、すべての話を実在の裏付けとして積み上げることもできません。

残る謎は、町全体を包んだ一匹の怪物というより、少数の人が「確かに何かを見た」と感じた、それぞれの場面です。

三本脚という強烈な姿は、当時の新聞と研究を読み分けた先でも、なお気になる問いとして残ります。

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